日本外科系連合学会誌
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進行および再発胃癌の集学的治療成績の評価
小林 理鈴木 一史高橋 誠小野寺 誠悟奥川 保利野 靖円谷 彰山本 裕司西連寺 意勲本橋 久彦
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1996 年 21 巻 6 号 p. 956-961

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抄録

当科では1988年から進行胃癌に対して, 漿膜浸潤例には術中腹腔洗浄細胞診断や閉腹時抗癌剤の腹腔内投与を行い, 外来follow upは血清腫瘍マーカー測定による一次スクリーニングを行い, 再発後は化学療法を積極的に行ってきた。その結果, 抗癌剤の腹腔内投与は洗浄細胞診断陽性例の健存日数の有意な延長による生存日数の延長を認め, さらに腹膜再発予防効果も得られた。マーカー測定は再発の早期診断が可能となり, 特に術前陽性マーカーによるfollow upは有意義であった。血行性再発では肝再発の早期診断と化学療法効果を認めたが, 投与ルート別の成績に差はなかった。以上の集学的治療を積極的に行った1988年以後の再発99例 (後期群) はそれ以前に再発した85例 (前期群) に比べて生存日数と再発後生存日数に有意な延長を認めた。腹膜再発の生存日数は前期群の699日に対し後期群は1133日, 肝再発後生存日数は前期群の111日に対し後期群は276日と有意に延長していた。

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