抄録
胃癌取扱い規約によるとA領域癌におけるNo.4sbは第1群リンパ節に分類されているが, その妥当性について検討を加えた。対象はNo.4sbの完全郭清を行ったA領域癌511例であり, これらについてNo.4sb転移 (+) 例の特徴, 他のリンパ節との転移率の比較および予後の面から解析した。その結果, 1) 壁深達度別転移率あるいは他のリンパ節からみた併存転移率がきわめて低率で第2群相当であること, 2) 他の第1群リンパ節にみられる単独転移がなく一次リンパ節とは考えがたいこと, 3) No.4sb転移例は第2群に規定されているリンパ節転移例に比較して予後の優位性がないことが明かとなった。No.4sbに連続するNo.10が第3群に設定されている不整合性の改善の意味からも, A領域癌のNo.4sbは第2群に改正すべきと考えられた。