抄録
家族歴のない散発性大腸癌原発巣におけるp21wafl, RB, PCNAの発現とその臨床的意義について検討した。大腸癌48例を対象とし, RT-PCR法および定量化PCR法を用いてmRNAレベルでの検討を行った。RB, PCNAは全例の癌部, 非癌部に発現しており, p21は26例の癌部と7例の非癌部に発現していた。臨床病理学的諸因子との関係では臓器腫瘍部においてp21-mRNAとPCNA-mRNAの発現が負に相関し, PCNA-mRNAの発現はDukes分類と正の相関を示した。その他の臨床病理学的因子との関連は見られなかったが, p21-mRNAおよびRB-mRNAの発現は術後の累積生存率と相関し, p21-mRNAとRB-mRNAの発現量の増減は予後因子となりうる可能性が示唆された。