日本外科系連合学会誌
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膵頭部領域の血行支配についての検討
堀口 明彦宮川 秀一花井 恒一水野 謙司石原 慎庭本 直達伊藤 昌広岩瀬 祐司佐藤 禎山本 晴大永田 英生三浦 馥
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1998 年 23 巻 1 号 p. 106-108

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抄録
機能温存を目的とした十二指腸温存膵頭切除術を施行する際には, 術後合併症を回避するため, 膵頭部の動脈を温存することが重要である。そこで120例の腹部血管造影をもとに血行温存法の確立を目的に膵頭前後面アーケイドの血行支配について検討した。前上膵十二指腸動脈 (以下ASPD) と後上膵十二指腸動脈 (以下PSPD) の比較では, ASPDが優位であるものは38%, 同等であるものは49%, PSPDが優位なものは13%であった。前下膵十二指腸動脈 (以下, AIPD) と後下膵十二指腸動脈 (以下PIPD) の比較では, AIPDが優位であるものは14%, 同等であるものは69%, PIPDが優位なものは16%であった。以上より, 前面アーケイドを犠牲にした場合に十二指腸の阻血をきたし, また, 胆管の血行温存には後面アーケイドを極力温存することが, 術後早期の合併症を予防するうえできわめて大切である。
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