日本外科系連合学会誌
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食道切除再建術における亜全胃胃管吻合部血流におよぼす右胃動脈血流の影響について
大平 雅一六車 一哉長山 正義曽和 融生
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1998 年 23 巻 1 号 p. 17-21

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抄録

過去10年間に教室で経験した亜全胃胃管を用いた胸骨後再建例 (61例) を対象として右胃動脈の切離と縫合不全の関係について検討し, さらに亜全胃胃管吻合部漿膜面および粘膜面の血流に及ぼす右胃動脈遮断の影響をレーザー血流計を用いて検討した。その結果, 右胃動脈温存36例中, 縫合不全は2例 (5.6%) にみられ, 右胃動脈切離25例中, 縫合不全は1例 (4.0%) で, 右胃動脈切離により縫合不全の頻度は増加しなかった。また両群間に吻合法の差は認めなかった。胃管吻合部漿膜面の右胃動脈遮断前後での血流比は0.97±0.13 (n=15), 粘膜面の血流比は1.02±0.07 (n=10) と右胃動脈遮断による血流の低下は認めなかった。これらの血流測定を行った症例 (右胃動脈温存13例, 切離2例) では縫合不全は認めなかった。以上より, 亜全胃胃管吻合部血流に及ぼす右胃動脈血流の影響は少ないと考えられた。

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