抄録
48歳の女性。鈍痛を伴う下腹部腫瘤で受診。US,CT,MRIなどにより後腹膜漿液性嚢胞を疑い開腹した。9×7×11cm大の単房性嚢胞で周囲組織との癒着はなく摘出は比較的容易であった。術後の嚢胞内容液のCEA,CA125を測定したところ著明に増加していた。組織学的には嚢胞壁は異型性のない単層円柱上皮に被われた嚢胞腺腫であった。免疫組織学的検討によりCEA,CA125ならびにCA19-9は嚢胞壁に陽性であった。組織学的に良性であることから発生起源としてミュラー管などの胎生期遺残物の関与を想定している。