日本外科系連合学会誌
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大腸癌組織におけるMMP9, uPA, TIMP1のRT-PCRによる遺伝子発現の検討
高山 陽難波 美津雄
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キーワード: 大腸癌
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1999 年 24 巻 5 号 p. 743-749

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抄録

大腸癌の浸潤・転移過程における関与が注目されているMMP9と, その活性因子uPAおよび抑制因子TIMP1に関して, 同時性肝転移10症例を含む大腸癌手術症例40例を対象に, その癌部 (T) と非癌部 (N) 組織におけるmRNAの発現をRT-PCR (reverse transcription-polymerase chain reaction) 法を用いて検索し, 臨床病理学的因子との関連を検討した。MMP9とuPAの発現は, 非癌部よりも癌部において有意に高く, かつ両者の発現には有意の関連を認め, 肝転移陽性例においては共に高い発現傾向を示した。また癌部MMP9陽性例は陰性例に比べ予後不良の傾向を示した。さらに, 半定量化による検討では, MMP9とuPAが癌部において非癌部以上の発現量 (T>N) を示す割合の方が高かった。以上より, uPA, MMP9, TIMP1mRNAは, その発現状況により肝転移と予後に関与することが示唆された。

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