2002 年 27 巻 1 号 p. 12-15
腹部・胸部領域での内視鏡手術は, その低侵襲性により急速に普及していった。頸部領域手術では, 一般的に手術侵襲が少ないため, 内視鏡手術による低侵襲性を求める意義は少ないと考えられる。しかし, 従来の手術方法では創部が皮膚露出部にあるために, 精神的苦痛などによるQOL低下につながる可能性があった。よって, 頸部領域での内視鏡手術の意義は, 美容性を求めることにあると考えられる。そこで, われわれは創部が開襟シャツで隠れる内視鏡補助下頸部手術 (VANS) を, 2001年1月より導入し自験例を中心に検討した。甲状腺良性腫瘍, バセドウ病, 原発性副甲状腺機能亢進症に対する, それぞれの創部位置, 手術手技を示し, 各術式での合併症および問題点などについて報告する。