日本外科系連合学会誌
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小切開法による低侵襲性甲状腺・副甲状腺手術の臨床的有用性
高見 博池田 佳史
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2002 年 27 巻 2 号 p. 229-232

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抄録
小切開法 (2~3cmの皮膚切開) による低侵襲性甲状腺・副甲状腺手術の臨床的有用性を検討するために, 小切開法で行われた症例を従来の大きな切開創 (従来法) で行われた症例と対比した。甲状腺濾胞腫瘍17例では, 小切開法 (3cm) は従来法と比べ手術時間は若干長かったが, 入院期間は短かった。術後2日目の創部痛, 術後1カ月目の美容面, 愁訴からみた満足度は小切開法の方が明らかに優れていた。微小癌 (3cm) 4例では両側の気管周囲のリンパ節郭清が行われた。バセドウ病 (3cm) 5例では摘出重量は56gから118gと大きかった。原発性副甲状腺機能充進症 (2cm) 20例, 腎性副甲状腺甲状腺機能元進症 (3cm) 10例ではともに甲状腺濾胞癌と同様の結果を示した。全例で反回神経麻痺, 術後出血などの合併症は認められなかった。小切開法は従来法に比べ手術時間は若干延長するが, 入院期間は短く, 術後の創部痛, 愁訴は明らかに少なく, QOLの高い優れた術式であると考えられた。
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