2002 年 27 巻 2 号 p. 233-237
近年手術などの治療行為の危険性に関する患者への説明義務とともに, それぞれの施設での成績を示すことが求められている。今回われわれは当院で1985年から2000年の間に待期的に手術した大腸癌のべ794症例を対象とし, 手術操作に起因する合併症と全身的な合併症について検討した。手術操作に起因する合併症は縫合不全 : 4.7%, 早期イレウス : 3.1%の順に多かった。術後の合併症のため3.3%に何らかの観血的治療を要した。手術関連死は1.0%で, 手術操作に起因する死亡が0.5%, 全身的な合併症による死亡が0.5%であった。手術操作に起因する死亡は減少しているが, 全身的な合併症による死亡が起きている。今後全身的な合併症を予防する工夫が必要である。