日本外科系連合学会誌
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MRIが絨毛腫瘍との鑑別に有用であった1型直腸癌の1例
田中屋 宏爾小長 英二竹内 仁司
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キーワード: 直腸癌, 絨毛腫瘍
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2002 年 27 巻 4 号 p. 682-685

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抄録

症例は67歳, 女性。全身倦怠感, 食欲不振にて発症した。腹部は膨満しており, 注腸, 大腸内視鏡検査などで直腸Raを中心とする長径14cm, 表面が絨毛状の隆起性病変を認めた。内視鏡は通過可能で比較的軟らかく, 潰瘍は認めなかった。絨毛腫瘍に類似した所見を呈したが, CEAは135ng/mlと高値で, MRIで直腸筋層に基づく信号線が腫瘍により断裂する所見を認め進行癌を疑った。腸閉塞症状の悪化のため, 準緊急でリンパ節郭清を伴う直腸切除術 (Hartmann法) を施行した。術後診断は直腸高分化型腺癌, 1型, ss, n0, 病期IIであった。絨毛腫瘍と1型進行癌との鑑別に, 腫瘍マーカーとMRIが有用であった。

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