日本外科系連合学会誌
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術中胆道内圧測定の異常により遺残結石の診断に至った胆管結石の1例
中野 達夫安居 利晃佐久間 寛
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2003 年 28 巻 2 号 p. 294-298

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抄録

術中胆道造影では異常を指摘しえなかったものの, 術中胆道内圧測定上異常を認めたためCチューブを留置し, 術後遺残結石を診断しえた胆管結石症の1例を経験した。症例は87歳の女性。右季肋部痛, 発熱を主訴に近医受診。術前精査にて急性胆嚢炎を伴う胆嚢結石症および胆管結石症の診断にて腹腔鏡下胆嚢摘除術および胆管切石術を施行した。胆管切石後, 3枚法による術中胆道造影にて遺残結石は描出されなかったが, 術中胆道内圧測定にて異常高値を示したためCチューブを留置した。術後のCチューブ造影にて2個の遺残結石を認め, 内視鏡的乳頭バルーン拡張術 (endoscopic papillary balloon dilation : EPBD) により除石した。術中胆道内圧測定は, 十二指腸乳頭機能評価のみならず, 遺残結石の補助診断としても有用な術中検索方法であると考えられた。

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