抄録
症例は70歳, 女性。平成7年頃より左季肋下に腫瘤を触知するも放置していた。平成12年9月近医にて脾腫瘤を指摘され当院紹介となった。エコー・CT・MRI・血管造影にて脾臓原発の良性腫瘍を疑ったが, 確定診断は得られなかった。腫瘍内部は出血しており, 巨大で破裂の可能性もあったため開腹脾臓摘出術を施行した。病理組織学的には広範な出血壊死を伴った脾海綿状血管腫と診断された。脾血管腫は画像検査による確定診断がしばしば困難であり, 悪性化や破裂による腹腔内出血の危険性を考え, 脾臓摘出術が行われることも多い。本邦での脾血管腫の報告例は少なく, 今回, 自験例を報告するとともに, 本邦報告例を集計し, 発生頻度や病態について考察した。