日本外科系連合学会誌
Online ISSN : 1882-9112
Print ISSN : 0385-7883
ISSN-L : 0385-7883
透析患者に発生した脾動脈瘤に対する塞栓術による治療経験
水口 真二郎竹村 茂一広橋 一裕久保 正二田中 宏大場 一輝田中 肖吾西野 佳浩小川 雅生山崎 圭一木下 博明
著者情報
ジャーナル フリー

2003 年 28 巻 4 号 p. 799-803

詳細
抄録
脾動脈瘤の報告は散見されるが, 未だ3cm以上の報告は稀であり, その破裂は致死的である。われわれは, 慢性腎不全, 陳旧性脳梗塞, 特発性門脈亢進症, 高血圧を合併した脾動脈瘤に対し, 血管内治療による低侵襲治療を施行した。症例は66歳, 男性。合併症に対する治療および持続透析を施行中, CTにより脾門部に直径4.5×3.6cmの脾動脈瘤を指摘された。血管造影像では, 脾動脈上極枝分岐直後にジェット流を伴う動脈瘤を認め, 瘤頸部の脾動脈中下極枝を含め動脈内留置コイルで塞栓した。塞栓後の動脈造影にて側副路による脾中下極への血流を確認しえた。生体侵襲は軽微で, 発熱, 疼痛も認められなかった。術後限局した脾梗塞巣が出現したが, 動脈瘤内は血栓化し, 術27カ月後でも塞栓効果は持続していた。本症例の如く高度合併症を併存した脾動脈瘤に対する血管内治療による塞栓術は, 低侵襲で有用な治療であると考えられた。
著者関連情報
© 日本外科系連合学会
前の記事 次の記事
feedback
Top