日本外科系連合学会誌
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リンパ節転移を契機に発見された回腸カルチノイド腫瘍の1例
傍島 潤石田 秀行横山 勝林 洋一都築 信太郎橋本 大定安達 章子糸山 進次権田 剛
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2004 年 29 巻 1 号 p. 68-71

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抄録

本邦では空・回腸に発生するカルチノイドの発生は稀である。腸間膜リンパ節転移が診断の契機となった, 径13mm大の回腸カルチノイドの稀な1例を経験したので報告する。症例は55歳, 男性。腹痛の精査目的で入院。腹部CTで腸間膜に約4cmの造影される腫瘤性病変を認めた。上腸間膜動脈造影では回腸間膜領域に腫瘍濃染像を認めたが, 小腸造影では明らかな異常を認めなかった。腸間膜腫瘍を疑い, 手術を施行したところ, 回腸腸間膜内に約4cmの腫瘍と, 終末回腸から約60cmの部位の回腸に引きつれを認めたため, これを含めた回腸約50cmをその範囲の腸間膜とともに切除した。腸間膜腫瘍の術中迅速組織検査でカルチノイド腫瘍のリンパ節転移と診断された。回腸のひきつれた部位には径13mmの粘膜下腫瘍を認め, 組織学的に好銀染色陽性であり, 最終的に回腸カルチノイドと診断した。術後11カ月を経過した現在, 再発の徴候を認めていない。

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