日本外科系連合学会誌
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腸重積で発症したPeutz-Jeghers症候群に対し, 小切開で盲腸切除および全小腸内視鏡検査を施行し得た1例
竹内 幾也石田 秀行傍島 潤坂口 大介中田 博大澤 智徳猪熊 滋久橋本 大定
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2004 年 29 巻 1 号 p. 72-76

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抄録

Peutz-Jeghers症候群 (以下, PJ) は消化管ポリープによる腸重積で発症し, 緊急手術の対象となることが多い。その際, 腸重積, 出血あるいは癌化の原因となる小腸ポリープの検索を行うことが重要である。今回, 小切開で全小腸内視鏡検査を施行し得たPJの1例を経験したので報告する。症例は32歳, 女性。繰り返す腹痛の精査のため入院。右下腹部に手拳大の腫瘤と口唇・口腔粘膜に色素沈着を認めた。腹部CTで回盲部にring sign, 注腸検査で盲腸ポリープを先進部とする回盲部の腸重積を認めた。手術は臍右を回る4cmの腹部正中で開腹し, 盲腸切除を施行。小腸のほぼ中央に半周性の横切開をおき, 麻酔器の蛇管を口・肛側へ挿入, 小腸をpleatingさせ大腸内視鏡を挿入し, pleatingを順次解除しつつ全小腸を検索した。今回は結果的に, 小腸ポリープは認めなかったが, われわれのPJに対する小腸ポリープ検索方法は, 小切開でも十分可能であり, 今後同様の症例に対して試みる価値があると考えた。

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