日本外科系連合学会誌
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後腹膜気腫を呈した特発性S状結腸穿孔の1例
森川 あけみ國枝 克行河合 雅彦福井 貴巳太田 博彰松井 聡太和田 昌宏
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2004 年 29 巻 1 号 p. 81-84

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抄録

後腹膜気腫を伴う特発性S状結腸穿孔の1例を経験したので報告する。症例 : 78歳, 女性。主訴 : 下腹部痛。現病歴 : 平成13年7月11日, 下剤を内服した後, 頻便となった。便は黒色調となり下腹部痛も出現したため7月13日緊急入院した。入院時, 両下腹部痛と圧痛を認め, 腹部単純X線写真, 腹部CTで後腹膜の気腫像を認めたため消化管穿孔の疑いで同日緊急手術を施行した。開腹すると, S状結腸間膜は緑黒色に変色し, 腸間膜への穿孔部を認めたため, S状結腸切除術と人工肛門造設術を施行した。切除標本では, 3.0×2.5cm大の穿孔部が認められたが, 周辺粘膜面に異常はみられなかった。また, 組織学的検査では軽度の炎症所見と明瞭な粘膜, 筋層の断裂がみられたため, 特発性穿孔と診断した。術後経過は良好で, 術後20日目に退院した。本例は術前診断に腹部CTが有用であった。

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