日本外科系連合学会誌
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直腸癌術後35年目に人工肛門に発生した大腸癌の1例
西尾 公利種村 廣巳大下 裕夫菅野 昭宏日下部 光彦波頭 経明西科 琢雄斉藤 史朗
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キーワード: 直腸癌, 人工肛門
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2004 年 29 巻 4 号 p. 773-776

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抄録
症例は74歳, 女性。1964年直腸癌にて腹会陰式直腸切断術を受け, 1985年よりC型慢性肝炎にて当院内科通院中であった。2000年1月肝腫瘍の治療目的で当院入院し, 人工肛門部の腫瘍を指摘された。理学的所見では人工肛門の尾側粘膜から発生したと思われる10×7.0×4.0cmの1型の不整形腫瘍を認めた。腫瘍は易出血性で生検にて高分化型腺癌と診断された。大腸内視鏡では人工肛門より口側の結腸には腫瘍性病変は認めなかった。人工肛門に発生した大腸癌と診断し, 腫瘍周囲の皮膚を含めて結腸部分切除を施行し横行結腸に人工肛門を作成した。病理組織学的所見は, 中分化型腺癌で腹壁への直接浸潤を認めたが切離断端に腫瘍を認めず結腸周囲リンパ節転移も認めなかった。人工肛門癌は稀であるが発見は容易と思われる。しかし本例のように患者が自発的に訴えず進行癌となって発見されることもあり人工肛門を含めた大腸の慎重な経過観察が必要と思われた。
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