2005 年 30 巻 5 号 p. 729-731
骨形成不全症とは, I型コラーゲンの質的ないし量的異常を来す遺伝性疾患で, 易骨折性・進行性の骨変形などの骨脆弱性に加え, 毛細血管の脆弱性も報告されている。心臓外科手術においては, 人工心肺による出血傾向に加え, 組織脆弱性によると考えられる心血管系の破綻とそれに伴う大量出血のリスクが高く, 手術成績は極めて不良であるとされている。20歳の骨形成不全症の男性で心不全歴のある重症僧帽弁閉鎖不全症に対してSJM弁で僧帽弁置換術を施行した。経過良好で周術期の出血などなく, 無輸血で退院した。術後15ヵ月の現在も特に問題なく外来通院中である。