日本外科系連合学会誌
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腸重積により発症した原発性空腸癌の1例
新見 行人渡辺 明彦石川 博文山本 克彦大山 孝雄中村 卓
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キーワード: 原発性空腸癌, 腸重積
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2005 年 30 巻 5 号 p. 753-756

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抄録

症例は80歳男性。主訴は腹痛・嘔吐。現病歴は平成15年9月1日と11月に2度腹痛あるも, 自然軽快していた。平成16年1月14日より腹痛・嘔吐を生じ, 改善しないため当院内科に腸閉塞の診断で入院した。腹部CT検査で左上腹部に大きさ4cm大の内部に層構造を伴う拡張した小腸像を認めた。腸重積の診断で1月21日当科紹介, 同日緊急手術を施行した。空腸腫瘍を先進部とする空腸・空腸・空腸型の腸重積を認め, 空腸部分切除術を行った。全周性の輪状狭窄型腫瘍で, 病理組織検査では一部に粘液変性を伴った空腸原発の高分化腺癌であった。小腸腫瘍の発生頻度は全消化管腫瘍の約3%で, その中でも十二指腸を除く小腸癌は全消化管癌の0.1~0.3%と比較的稀である。今回腸重積により発症した原発性空腸癌の稀な1例を経験したので報告する。

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