2005 年 30 巻 5 号 p. 766-770
5FU+LV療法が奏効した4型横行結腸癌の1例を経験した。症例は69歳男性。H14年9月, 検診にて便潜血陽性を指摘され近医でCF検査を受けたが, 粘膜変化のみで経過観察された。翌年4月の再検査にて横行結腸癌が認められたため, 当科に紹介された。腹部CTにて著明な大動脈周囲リンパ節転移が認められたが, 姑息的結腸切除術を施行した。腫瘍は腹膜播種を伴い, 切除標本では70×40mm大の4型で, 著明なリンパ管侵襲を伴う低分化腺癌であった。術後に5FU+LV療法を施行した。2コース終了後のCTで大動脈周囲リンパ節の著明な縮小が認められ (PR), 血清CEA値は正常化した。CEAが再上昇したためMMC+CPT-11療法に変更し, PRは12ヵ月継続した。その後急速に悪化し, 術後20ヵ月で死亡した。4型大腸癌は稀な疾患で, 化学療法無効例が多いとされるが, 5FU+LV療法は施行する価値があると考えられた。