2005 年 30 巻 5 号 p. 771-774
症例は47歳女性。腹痛, 下血に対して大腸内視鏡を施行し, S状結腸に粘膜下腫瘍を認めた。生検で悪性所見は認めなかった。大腸脂肪腫と考えられたが, 表面にびらんを伴っており, CTで内部が不均一であったことから肉腫様変化も疑われた。大きさから内視鏡的切除は困難と考え, リンパ節郭清を伴う結腸切除術を施行した。術後病理診断は大腸脂肪腫で, 表面のびらんは細菌感染によるものであり, 内部不均一なCT像は高度炎症による線維性隔壁の増生であることが示された。非典型所見を示す大腸脂肪腫を経験したので報告した。