(目的) 大腸癌の臓器転移は大腸癌の予後規定因子として重要である。大腸癌臓器転移にかかわる遺伝子を抽出するため, CGH法を用いて大腸癌原発巣に生じたゲノムコピー異常を網羅的に解析した。 (対象および方法) 当科で2003年4月から2004年12月に手術を施行した大腸癌症例43例 (非臓器転移30例, 同時性肝転移8例, 同時性肝および肺転移5例) 。手術で得られた大腸癌原発巣の新鮮凍結切片から, microdissectionにより腫瘍細胞のDNAを抽出し, CGH法で解析した。解析結果を臓器転移群と非臓器転移群とで比較検討した。 (結果) 大腸癌の同時性臓器転移群における3q13.3, 5p12, 14q24のゲノムコピーの増加が非臓器転移群に比べ, 有意に多く認められた。 (結語) 3q13.3, 5p12, 14q24のゲノムコピーの増加が大腸癌の臓器転移に関与している可能性が示唆された。