日本外科系連合学会誌
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巨大卵巣腫瘍にて発見された進行胃癌の1例
新井 賢一郎加瀬 肇菊池 誠鷲沢 尚宏斉藤 直康谷島 聡伊東 俊秀金子 奉暁小林 一雄長谷川 千花子
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2005 年 30 巻 6 号 p. 867-872

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抄録

症例は76歳の女性。2カ月ほど前より増大する腹部腫瘤を自覚したため近医受診。原発性卵巣腫瘍を疑われ当院婦人科に入院。下腹部やや左側に15cm大の可動性のある, 弾性軟で痛みのない腫瘤を触知。腹部CTにて, 下腹部に100×150mm大の内部が低吸収, 一部隔壁を伴った巨大な嚢胞性腫瘤を認めた。また, 胃壁の肥厚を認めたため, 上部消化管内視鏡検査を施行したところ, 胃体中部から前庭部にかけての全周性の4型胃癌を認めた。左卵巣腫瘍摘出術および胃全摘術を行った。摘出卵巣は3000gであった。当初, 病理学的に左卵巣はfibrosarcomaが疑われたが, 免疫染色を追加施行し, 胃癌左卵巣転移いわゆるKrukenberg腫瘍と判明した。胃癌の卵巣転移はしばしばみられるが, 今回われわれは, 胃癌の転移としては比較的稀な巨大卵巣腫瘍にて発見された進行胃癌の1例を経験したので報告する。

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