日本外科系連合学会誌
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腸閉塞症状をきたした小腸アニサキス症の1例
細田 桂
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2005 年 30 巻 6 号 p. 878-881

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抄録

症例は35歳男性。平成16年8月26日早朝, 腹痛, 嘔吐にて当院救急外来を受診した。来院時バイタルサインに異常はなかったが, 腹膜刺激症状を認めた。血液検査所見ではWBC15100, CRP15.2と炎症反応を認めた。腹部CT所見では小腸の拡張, 液面形成を認め, 少量の腹水を認めたが, 閉塞機転はわからなかった。絞扼性イレウスを否定できず同日手術を行った。開腹すると, 混濁した漿液性の腹水を認めた。回盲弁より約90cmの回腸に, 硬結, 発赤と膿様白苔を認め内腔の狭窄を認めたため, 回腸部分切除術を施行した。腸管を開くと腸管壁内に侵入した生きたアニサキス虫体を認めた。術後食事内容を詳細に聞くと, 鱒の生卵を食していたことが判明した。小腸アニサキス症は比較的稀で, 術前診断に難渋する。イレウスを伴う急性腹症の診断に際しては, 本症も鑑別診断に加え, 臨床症状に応じて, 外科的治療も考慮した適切な対処が必要である。

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