日本外科系連合学会誌
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イレウス術後に発症したMRSA腸炎の1例
畠山 純一猪俣 斉佐藤 暢人
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2005 年 30 巻 6 号 p. 882-884

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抄録

MRSA感染症は, 1980年代後半より急激に増加し, 中でもMRSA腸炎による死亡例が全国で多発した。現在では抗生剤使用の見直しにより減少しているが, 日和見感染の主役として重要な起因菌である。症例は78歳男性, 2000年11月に直腸癌にてMiles手術施行, 2003年4月上旬よりイレウスを発症し, 入院後10日目に癒着剥離術および小腸切除術を施行した。術後4日目より発熱, 腹部膨満, 胃ゾンデおよびストマからの多量の白色排液流出を認めた。排液培養にてMRSAが同定されたためVMCの投与を開始した。また, 多量の排液による脱水症状を予防するため大量輸液による循環動態の安定を図った。発熱, 多量の排液は徐々に消失し, 術後19日目には下痢も消失し, 軽快した。

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