2005 年 30 巻 6 号 p. 898-902
症例1は80歳, 男性。血便を主訴に来院した。精査にて直腸癌と診断し, 腹会陰式直腸切断術 (D3) を施行した。最終診断は直腸癌 (RbRaP), 3型, 9×4cm, a2, Circ, n4 (+) (左292), H1, P0, M (-), Stage IVであった。術後は化学療法を施行したが, 抵抗性を示し, 術後4カ月で癌死した。症例2は48歳, 男性。血便を主訴に来院し, 精査にて直腸癌と診断し, 低位前方切除術 (D3) を施行した。最終診断は直腸癌 (RaRb), 2型, 4.5×3.5cm, se, Circ, n2 (+) (252), H0, P0, M (-), Stage IIIbであった。術後化学療法はleucovorin+5-FU全身投与を行った。22カ月経過した現在, 再発は確認されていない。以上, 当科で経験した直腸印環細胞癌2症例について若干の文献的考察を含め報告する。