2005 年 30 巻 6 号 p. 903-906
症例は74歳女性。糖尿病を合併し, 近医にて慢性腎不全に対し血液透析が導入された。さらに洞不全症候群と診断され当院循環器内科にペースメーカーの植え込み目的で入院となった。大量の胸水を認めたが利尿剤などの内科的加療に対して抵抗性であった。これに対して他科で胸腔ドレナージチューブが挿入されたが, 排出不良であったために, さらに低位での挿入が行われた。ドレナージチューブからの出血をみて経ドレナージチューブ造影を行ったところ脾静脈・門脈が造影された。これをもって脾損傷と判断し緊急脾摘術を施行し事なきを得た。ドレナージチューブからの造影が緊急事態の掌握に有用であった1例を経験したので報告する。