抄録
胃癌においてセンチネルリンパ節 (SN) を同定するにあたり, サイトケラチン (CK) 染色による微小転移を検索する意義を検討した。102例に対してSNを検索し, 同定されたSNの評価項目として同定率, 正診率, 転移リンパ節検出感度を対比した。HE染色による転移判明分は13例, 微小転移は4例であった。同定率はともに100%, 正診率はともに98.0%であった。転移リンパ節検出感度は, 微小転移を検索した方が88.2% (15/17例) とHE染色のみ64.7% (11/17例) より高かった。全症例のSNの分布と微小転移リンパ節を血管流域別にマッピングし, 腫瘍占拠部位別に検討した。血管流域は腫瘍占拠部位によるSNの分布に統計学的な有意差を認めなかったが, 微小転移はSNが同定された血管流域の頻度の上位2位までに認められた。HE染色でリンパ節転移陰性とされる症例の中に微小転移が存在している可能性が示された。SN同定には微小転移を考慮する必要が示唆された。