日本外科系連合学会誌
Online ISSN : 1882-9112
Print ISSN : 0385-7883
ISSN-L : 0385-7883
大腸憩室出血症例の検討
荒井 武和味村 俊樹松田 圭二小出 泰平山田 英樹大見 琢磨白 京訓野沢 慶次郎安達 実樹沖永 功太
著者情報
ジャーナル フリー

2006 年 31 巻 1 号 p. 24-32

詳細
抄録
過去10年間に当科で入院加療した大腸憩室出血32例 (年齢中央値72.5歳, 男/女=21/11例) に関して検討した。出血部位を同定できた29例は, 右側結腸12例, 左側結腸17例であった。大腸内視鏡検査を第一選択として施行した29例中, 憩室出血を診断できたのは19例で, うち出血範囲を同定できたのは15例, 出血憩室を特定できたのは5例であった。治療法は, 経過観察による自然止血26例, 内視鏡的止血術3例 (1例は出血再発のため手術に移行), 血管造影による塞栓術1例 (大腸穿孔合併で手術に移行), 手術4例であった。死亡例は1例で, 出血に対する注腸造影検査後の大腸穿孔であった。退院後の再出血で入院を要したのは5例で, うち1例に手術を施行した。憩室出血の多くは自然止血するが, 稀に出血が持続して外科的切除が必要な場合があるため, 事前に出血部位を同定して切除範囲を決定しておく必要がある。
著者関連情報
© 日本外科系連合学会
前の記事 次の記事
feedback
Top