2024 年 32 巻 3 号 p. 467-473
女性アスリートは,負のエネルギーバランスに陥りやすく,低骨密度から疲労骨折が生じる.しかし,本邦における大学女性アスリートの疲労骨折の実態を捉えた研究はない.そこで,本研究の目的は,大学スポーツ協会(UNIVAS)に属する選手への傷害調査から,大学女性アスリートの疲労骨折の実態を把握する事とした. 2022年6月から2023年8月にかけUNIVASに関連する大学にウェブアンケートを行い,過去1年以内(2021年4月~2022年3月)に生じた疲労骨折の有無を聴取した.疲労骨折と関連する因子の検討には,BMI,部位,競技,競技レベル,練習量などを独立変数として,多変量ロジスティック解析を行った. 回答が得られた選手は4053名であり,疲労骨折を直近の1年間で生じた選手は3.1%(126人)で合計140件であった.疲労骨折が生じやすい部位としては,足/足趾が32.1%,下腿が22.1% と下腿から遠位に多いことが示された.競技別の頻度は,陸上が最も多く(19.0%),練習量(β=0.5,Exp=1.6),BMI(β=-0.1,Exp=0.9),全国大会以上の競技レベル(β=0.7,Exp=2.1)が,疲労骨折の関連因子であった. 大学生女性アスリートでは,疲労骨折は陸上で最も頻度が高く,足/足趾の発生が多かった.疲労骨折のリスク因子は,BMIが低く,練習量が多いことであった.