2025 年 62 巻 1 号 p. 1_1-1_7
中国の習近平国家主席が2013年にカザフスタンとインドネシアで「一帯一路」構想を表明してから今年(2024年)で11年目となった.本稿では「一帯一路」を,中国の外交戦略としての側面と,その旗のもとで実際にどのようなプロジェクトが進められてきたかという側面から概観し,改めて「一帯一路」構想とは何であるかを考察する.「一帯一路」の推進によって,相手国と中国との貿易関係が強まったり,鉄道や港湾の建設によって物流が活発化したりといった効果はたしかに存在する.ただ,中国政府が「一帯一路」について国際標準に基づいた情報提供をしないため,いまだに「一帯一路」に対する不透明感を払拭できない.