2009 年 38 巻 6 号 p. 394-397
症例は56歳男性.52歳時に活動期感染性心内膜炎の診断でステントレス人工弁にて大動脈弁置換術が施行された.その後外来経過観察中に経胸壁心エコーで左室流出路仮性瘤を疑われ造影CT,経食道心エコーで確定診断した.仮性瘤パッチ閉鎖,大動脈弁再置換術を施行し術後経過良好で退院となった.左室流出路仮性瘤はまれであり診断に苦慮することがある.手術前診断には経食道心エコー,造影CTが効果的である.破裂のリスクがあること,瘤による僧帽弁前尖圧迫による逆流や左冠動脈圧迫による虚血などを認めることがあるため,発見次第手術と考えられており,手術方法は仮性瘤切除と大動脈弁置換,症例によっては僧帽弁置換が必要となることがある.