日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
Mosaic 生体弁による大動脈弁置換術後早期に生体弁機能不全を呈し再弁置換術を行った1例
庄嶋 賢弘安永 弘榎本 直史坂下 英樹尾田 毅細川 幸夫藤堂 景茂
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2010 年 39 巻 3 号 p. 118-121

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抄録
症例は81歳,男性.2005年9月に先天性二尖弁に伴う大動脈弁狭窄症に対し大動脈弁置換術が施行された.術後急性期より大動脈弁位人工弁流速は軽度高値を示したが,全身状態は良好であったため外来にて経過観察されていた.その後経胸壁心エコーにて徐々に流速の上昇を認め,2007年11月より労作時の前胸部不快感が出現し,拡張期雑音も聴取されるようになった.生体弁機能不全と診断し再手術を行った.術中所見では左冠尖に相当する弁葉に2カ所の亀裂を認め,生体弁流入側は多量のpannusが形成されており,流入側は狭小化していた.摘出された生体弁所見は右・無冠尖交連部ステントポストが9度外倒し,残り二対のステントポストが接近することで左冠尖が圧迫されていた.その結果人工弁流速の上昇および血液の乱流が発生し,多量のpannus増生を招き,早期に弁葉が破綻したと推察された.
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