日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
ヘパリン起因性血小板減少症既往のある症例に対するヘパリン使用体外循環下での胸腹部大動脈置換術
大場 正直村山 博和鬼頭 浩之松尾 浩三林田 直樹浅野 宗一平野 雅生宮田 茂樹
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2010 年 39 巻 3 号 p. 144-147

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抄録
ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)は,ヘパリンの重大な副作用である.症例は52歳,男性.緊急下行大動脈置換後にHITが強く疑われ,その6カ月後にヘパリン使用下で体外循環を行い胸腹部大動脈置換術を施行した症例を報告する.最初の手術後に急性腎不全のために持続血液濾過透析(CHDF)を行った.抗凝固剤をヘパリンに変更した後,7日目に血小板減少と回路閉塞を認めるようになった.HITを強く疑い,ヘパリンを中止してアルガトロバンに変更したところ,回路閉塞は認められなくなり,血小板数も著明に改善した.この時の抗体検査で抗PF4/ヘパリン複合体抗体(抗PF4/ヘパリン抗体)は,陽性を示した.その6カ月後に拡大傾向にある胸腹部大動脈瘤を認め,手術適応と判断した.この時の検査では抗PF4/ヘパリン抗体は陰性化しており,ヘパリン使用下体外循環で胸腹部大動脈置換を施行した.手術の間,回路閉塞は認められなかった.また,血小板減少や血栓症は周術期を通して認められなかった.
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