日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
右冠動脈を責任病変とする急性心筋梗塞後心室中隔穿孔の2例
尾畑 昇悟向井 省吾森元 博信二神 大介
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2010 年 39 巻 6 号 p. 347-350

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抄録

右冠動脈を責任血管とする急性心筋梗塞(AMI)に合併した心室中隔穿孔(VSP)を2例経験した.症例1は63歳の男性,右冠動脈の完全閉塞に対する経皮的冠動脈形成術後にVSPを発症し手術を施行した.術中に乳頭筋断裂を来たし僧帽弁置換術を要し,右心不全の治療を必要としたが,術後7週目に退院した.症例2は77歳の男性で,右冠動脈#2の99%閉塞にてカテーテル検査中にVSPを指摘,緊急手術を施行した.術後心エコー,心室造影では遺残シャントおよび僧帽弁閉鎖不全症(MR)は認めなかったが,術後4週目に突然,急性MRを発症し心不全にて死亡した.右冠動脈を責任血管とするVSPはその解剖学的位置からも外科的修復は困難であり,特に僧帽弁乳頭筋の壊死は僧帽弁置換術を余儀なくされる場合もあり,注意が必要である.

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