日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
多発性動脈瘤を伴う動脈拡張症(arteriomegaly)の1治験例
山岸 敏治坂田 一宏
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2011 年 40 巻 6 号 p. 290-293

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抄録
症例は76歳男性.左下肢の腫脹・痛み・痺れのため来院した.3D-CTで左外腸骨動脈から膝窩動脈末梢の全長にわたる動脈拡張症(arteriomegaly : AM)を認め,破裂し仮性瘤化した左上臀動脈瘤と浅大腿動脈瘤,さらに未破裂の外腸骨動脈瘤と膝窩動脈瘤を認めた.手術は左外腸骨動脈-後脛骨動脈バイパス術,深大腿動脈再建,左上臀動脈瘤空置,外腸骨動脈瘤・浅大腿動脈瘤・膝窩動脈瘤切除術を行った.術中に直面した最大の問題は,拡張した動脈分枝からのback flowの異常な多さで,back flowの流入する血管が異常に緊満することから,将来の瘤化を避けるため上臀動脈瘤以外の瘤は切除し大腿動脈も分断に努めた.術後経過に問題はなく,術後CTでは分断した大腿動脈の多くが血栓閉塞していた.本邦ではAMの報告はほとんどなく,きわめて稀な症例を経験したので報告する.
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