抄録
症例は68歳女性.2007年11月より食事の後に心窩部痛あり,上部消化管内視鏡検査を施行したところ多発性胃潰瘍を認めたため,内服加療を受けていた.その後も同症状が出現するとのことで2008年4月に腹部CTを施行し腹腔動脈,上腸間膜動脈の起始部に高度狭窄を認めたため手術目的に当科入院となった.大伏在静脈を用いて右外腸骨動脈—上腸間膜動脈バイパスを行った.術後には食事での腹痛を認めないようになった.腹腔動脈,上腸間膜動脈の高度狭窄を呈する腹部アンギーナに対して大伏在静脈を用いた右外腸骨動脈—上腸間膜動脈バイパスを行い良好な結果を得た.周術期の評価のためにMultirow detector computed tomography(MDCT)およびflow meter® が有用であった.