日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
Stanford A 型急性大動脈解離に左胸膜外血腫および肺出血を合併した1例
黒田 吉則内田 徹郎中嶋 和恵内野 英明島貫 隆夫
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2012 年 41 巻 3 号 p. 132-134

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抄録

症例は68歳の女性.突然の背部痛にて発症し近医を受診,Stanford A型急性大動脈解離(DeBakey II型)の診断で当院に救急搬送された.CTでは解離の所見に加え,肺動脈にそった血腫の進展と左血胸の所見を認めた.手術は上行近位弓部置換術を施行,エントリーは近位弓部小弯側に認め,左血胸は認めなかった.人工心肺離脱後に多量の血性痰を認め,肺動脈周囲に波及した血腫の穿破の可能性も考えられた.術前CTで左血胸とされた所見は左胸膜外血腫と考えられた.術後は肺出血に伴う酸素化不良の状態が持続したが,おおむね順調に経過した.今回われわれは,II型急性大動脈解離に左胸膜外血腫を合併した稀な症例を経験した.

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