日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
閉塞性動脈硬化症を伴う下腸間膜動脈瘤に対する1治験例
西村 善幸笹山 幸治石井 利治
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2015 年 44 巻 1 号 p. 11-15

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抄録

下腸間膜動脈瘤は,腹部内臓動脈瘤の中でも稀な疾患である.今回,われわれは閉塞性動脈硬化症(ASO)を伴う下腸間膜動脈瘤(Inferior Mesenteric Artery Aneurysm : IMAA)に対する開腹術を施行した1例を経験した.症例は74歳,男性.10年前から間欠性跛行があり,造影CTにてIMAAを伴う閉塞性動脈硬化症(右総腸骨動脈閉塞)と診断された.IMAAに対し塞栓術を考慮したが,術前CTにて上腸間膜動脈(SMA)が閉塞しており術後腸壊死を回避するため,開腹にて瘤切除後にIMAを再建した.術中にIMAと両下肢の血流,腸管の色が良好であることを確認し,閉腹した.術後3病日に食事を開始し,術後6病日に造影CTにてIMAの良好な開存を確認した.術後合併症はなく,術後16病日に退院した.

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