日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
開心術後4年経過して発症した心嚢内血腫の1例
佐々木 章史中野 清治
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2015 年 44 巻 1 号 p. 8-10

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抄録
開心術後年数が経過した遅発性の心タンポナーデは珍しく,血腫除去を行うべきかの判断も難しい.症例は70歳,男性.大動脈弁置換術(CarbomedicsTM 27 mm)+肺静脈隔離術+右房MAZE手術+左心耳結紮術を施行した.手術より4年後に息切れと浮腫にて入院した.心エコーとCTにて心嚢内左室後面に血腫が認められ左室を圧排していた.血腫除去術を施行した.血腫を除去すると,左心耳からの出血が認められたため,出血部位の縫合止血を行った.術後のCTで左室の変形は改善され血行動態は正常化した.その後,外来経過において再発は認められていない.術後圧迫により止血されていた左心耳からの再出血が遅発性タンポナーデを起こしたと考えられた.
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