日本心臓血管外科学会雑誌
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症例報告
2重に使用した ePTFE 心膜用シートが原因と考えられた TOF 術後右室腫瘤の1例
舩橋 亮輔打田 俊司本田 賢太朗湯崎 充國本 秀樹西村 好晴岡村 吉隆
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2015 年 44 巻 1 号 p. 41-44

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抄録

症例は28歳男性,動悸,胸痛を主訴に当院救急外来を受診した.ファロー四徴症(TOF),左肺動脈閉鎖,右冠動脈起始異常,右側大動脈弓の診断でこれまでに他院で4度の手術を施行された既往がある.今回の症状に対する精査の結果,症状は右室前面の異常腫瘤による右室圧迫と,右室流出路狭窄(RVOTS)を伴う肺動脈狭窄(PS)により,右室圧が左室圧を上回ることが原因と推察され,右室前面の腫瘤切除と右室流出路再建術(RVOTR),肺動脈弁置換術(PVR)の適応となった.右室前面の腫瘤は2つ折りに使用されたePTFE心膜用シートの隙間に貯留した漿液が原因であることが判明した.明らかな原因は不明であるが,ePTFE心膜用シートと心外膜との炎症反応により2つ折りにしたePTFE心膜用シートの隙間に漿液成分が入り込み,カプセル化し緊満するに至った非常に稀な病態が推察された.このような報告は今までになく,今後の使用方法においても注意深い検討が必要と思われた.

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