2016 年 45 巻 4 号 p. 187-191
症例は69歳女性.2011年2月に近医で心雑音を指摘され,先天性二尖弁に伴った中等度大動脈弁狭窄症(AS)と診断された.以後当院外来にてASと上行大動脈拡張(4 cm)に対して定期的に経過観察されていた.2014年4月の心エコーで中等度~重症へASの進行を認め,手術適応となった.術前の造影CT・心エコーで大動脈弁輪直下に2×2 cmの嚢状構造物を認めた.心室腔の開口部の大きさや収縮期の局所壁運動異常から大動脈弁輪下左室瘤の診断となった.手術は瘤切除後に上行+大動脈基部置換術を施行した.大動脈弁輪直下の左室瘤はこれまで25例の報告しかないきわめて稀な病態であり,自然経過などもはっきりせず,合併症として瘤破裂,感染,血栓形成,不整脈,心不全などが報告されており,単独でも手術適応になる.今回大動脈弁輪直下の先天性左室瘤を合併した二尖弁大動脈弁狭窄症の1例を経験したので文献的考察を加え報告する.