2016 年 45 巻 4 号 p. 192-195
症例は89歳女性.労作時息切れおよび心拡大に対し内科的治療を行われるも症状の改善認めず.精査目的にて施行された胸腹部CTにて心臓を圧排する巨大な心膜腫瘍を認めたため手術目的にて紹介となった.術前腫瘍の鑑別はできなかったが,心臓の圧排による心不全所見を認めたため診断を兼ねて腫瘍摘出の方針とした.腫瘍は,左室前壁の心外膜に起源し左前下行枝(LAD)に沿って約3×10 cmの茎を有した.LADを完全に巻き込んでいたため,人工心肺下,心停止下に腫瘍摘出術を施行した.LADも一部合併切除を要した.術後経過は良好で術後37日目に独歩退院となった.病理組織診断は,原発性孤立性線維腫瘍(solitary fibrous tumor ; SFT)であった.心膜発生SFTは稀であり,なかでも左室起源のSFTはきわめて稀な疾患である.若干の文献的考察を加えて報告する.