2016 年 45 巻 6 号 p. 295-298
外傷を契機に破裂したと考えられるバルサルバ洞動脈瘤に対してパッチ閉鎖術を施行し,良好な結果を得たので報告する.症例は38歳男性.野球でダイビングキャッチを試みた際に前胸部を強打し,その日の夜から咳嗽と起座呼吸が出現した.心エコーでバルサルバ洞動脈瘤破裂,心室中隔欠損を認めた.人工心肺下に手術を施行し,windsock型のバルサルバ洞動脈瘤を確認した.瘤を切除した後に直接閉鎖し,右室流出路,大動脈の両側から心室中隔欠損を含めてパッチ閉鎖を施行した.合併症なく経過し,術後11日目に自宅退院した.若干の文献的考察を加え報告する.