日本心臓血管外科学会雑誌
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[大血管]
術前血流評価によりリエントリー閉鎖を先行したマルファン症候群合併解離性胸部大動脈瘤の1例
山本 晃裕佐戸川 弘之高瀬 信弥若松 大樹佐藤 善之瀬戸 夕輝籠島 彰人高野 智弘藤宮 剛横山 斉
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2017 年 46 巻 1 号 p. 25-28

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抄録

[背景]慢性大動脈解離に対する外科的治療はエントリー閉鎖が先行されることが多いが,偽腔が十分減圧されない症例では術後の破裂リスクを回避できない.今回,カテーテル造影検査による血流評価の結果から血流の多いリエントリー閉鎖を先行したマルファン症候群合併解離性大動脈瘤の1例を経験したので考察を加えて報告する.[症例]42歳,女性.数年前に他院で急性A型大動脈解離に対し上行置換術が施行され,マルファン症候群と診断されていた.CTで遠位弓部に腕頭動脈,左総頸動脈,左鎖骨下動脈にエントリー,左外腸骨動脈に大きなリエントリーをもつ54 mmの解離性大動脈瘤を指摘され入院となった.術前のカテーテル造影検査にて,リエントリーからの血流量がより多いと判断して,リエントリー閉鎖および腹部大動脈人工血管置換術を先行し,その後に再開胸基部弓部大動脈置換術を行った.[結語]術前のカテーテル造影検査はエントリーとリエントリーの血流量の比較が可能であり,治療方針決定に有用であった.

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