2018 年 47 巻 1 号 p. 26-30
症例は72歳女性.前医で50mm嚢状弓部大動脈瘤に対しTEVAR(Thoracic Endovascular Aortic Repair)を施行された.フォローアップ中に瘤径の拡大を指摘されたが,治療困難のため経過観察の方針となり当院をセカンドオピニオン目的で受診された.造影CTではステントグラフト外の嚢状瘤内へ造影剤が流入しており,手術加療適応と判断した.手術は超低体温循環停止下にステントグラフト部分抜去・弓部全置換術を施行し,術後は合併症なく独歩退院した.ステントグラフト治療は低侵襲で多用される傾向にあるが,追加治療のリスクも伴うためその適応に関しては慎重になるべきであり,治療方針としてOpen surgeryを選択することも重要である.