2018 年 47 巻 2 号 p. 49-53
比較的稀な膜様部心室中隔瘤を合併した,中等度大動脈弁逆流を伴う大動脈弁輪拡張症を経験したので報告する.症例は60歳男性,維持透析中で,一過性心房細動の精査中に大動脈弁逆流を伴う最大短径52 mmの大動脈弁輪拡張症が認められた.術前画像診断で膜様部心室中隔瘤の合併が確認されたが,術中所見では瘤内に血栓や短絡,感染の所見などは認めなかった.瘤と大動脈弁輪間の線維組織を縫い代としてDacronパッチで瘤閉鎖し,それにより弁下部組織の強度が保たれ大動脈弁温存基部置換術を施行することができた.術後経過は良好で,術後12日目に独歩退院した.