日本心臓血管外科学会雑誌
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[成人心臓]
成人期に診断された右冠動脈肺動脈起始症の1治験例
安東 悟央新宮 康栄大岡 智学加藤 裕貴橘 剛久保田 卓松居 喜郎
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2018 年 47 巻 5 号 p. 215-219

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抄録

冠動脈肺動脈起始症(ACAPA)は稀な先天性冠動脈異常であり,多くは幼少期に手術介入を要する.右冠動脈肺動脈起始症(ARCAPA)は左冠動脈肺動脈起始症(ALCAPA)よりもさらに稀である.われわれは成人期のARCAPAに対する手術症例を経験した.症例は60代女性,主訴は胸痛.冠動脈CTおよび冠動脈造影で,左前下行枝・中隔枝より発達した側副血行路が右冠動脈を逆行性に灌流し,主肺動脈に流入することを確認した.肺体血流比は1.21であった.心臓MRIで右冠動脈と左前下行枝の領域に虚血所見を認めた.手術は,右冠動脈の上行大動脈への再移植(reimplantation)と肺動脈パッチ形成を施行した.術翌日に抜管し一般病棟へ転棟,術後18日目に退院となった.術後15カ月が経過した現在,胸部症状なく外来通院中である.成人期のARCAPAに対し手術を施行し良好な結果を得たので報告する.

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