日本心臓血管外科学会雑誌
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[大血管]
上行大動脈置換術後の perigraft seroma に有茎大網充填が奏功した1例
呉 晟名高橋 信也森田 翔平前田 和樹片山 桂次郎黒崎 達也末田 泰二郎
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2018 年 47 巻 5 号 p. 248-251

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抄録

患者は生来健康の40歳男性,Marfan症候群の家系である.Stanford A型急性大動脈解離に対し当科にてBentall手術を施行した.術後は心嚢・縦隔内に液体貯留を認めたが,全身状態に影響ないと判断し経過観察とした.また,左鎖骨下送血部にも液体貯留を認めたが経過観察とした.術後5カ月に前胸部正中創に拍動を伴う腫瘤が出現した.CTでは心嚢・縦隔内の液体貯留が増加し,皮下腫瘤と交通していた.吻合部破綻を疑い,緊急手術を施行した.貯留した液体は黄色透明であり,perigraft seromaと診断した.Seroma除去後に再発予防目的に人工血管周囲に有茎大網充填を施行した.術後はseromaの再発なく良好に経過した.また,縦隔内のseromaの消失に伴い,左鎖骨下送血部の液体貯留も消失した.

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